運命はそれ自体に意味はない 意思が働いて初めて意味のある何かになる

運命には予告など無いもの。いつも突然訪れて、跡形もなく去って行く。
多くの人は、それが利運とさえ気付かず、後ろに逃してしまうもの。
幸運はガラスの馬車に乗ってやって来ると思い込み、痛みの妖精が抱えた幸せの種には見向きもしないからよ。

実際、運命ほど不可思議で、強力なものはないと思うわ。
この世の全ては、見えない糸で織り上げられた一つの物語のよう。
その中で、一人一人の存在など片糸ほどの意味もないかもしれない。

かといって、運命が全てを支配するわけじゃない。
運命がどんなシナリオを描こうと、意思が動かなければ何の形も成さないわ。

運命は、それ自体に意味はないの。
そこに意思が働いて初めて、意味のある何かになるのよ。

あの人が栄光を掴んだとしても、それは幸運ではなく意思の勝利よ。

運命のお膳立ては、決して本人の目には見えないのだから

第六章『断崖』の下書き

『フォルトゥナの娘』と呼ばれるリズは、不利な条件で海洋都市の改善を訴える恋人のヴァルターに幸運の風を吹かせるべく、プレゼンテーションの機会を設けます。

もちろん、プレゼンテーションに挑んだからといって、必ず勝利するとは限りません。

しかし、何もしなければ、無はいつまでたっても『無』のままです。

何かしようとする意思の力が働いて初めて、幸運は幸運の意味を持つのです。

幸運を当てにしても、物事は変わりません。

また意思の力だけでは、どうにもならないこともあります。

では、運と意思とどちらが強いのか……といえば、結果的には、意思の力が勝ると思います。

意思なくして運は立たず、運に手足は無いからです。

全ての人に幸運が輝くとは限りません。

しかし、意思なき人生は、もっと空しいものです。

Photo:Jill WellingtonによるPixabayからの画像

この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャーファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。好きな言葉は寺山修司の「詩を作るより、田を作れ」。昨今の生産重視の風潮にささやかに反抗しながら、古典文学や芸術の魅力を紹介。科学は生物学と地学のファンです。

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本作はアクション満載のSFではなく、人間ドラマに重点を置いた古典的な文芸作品です。
専門用語は極力使わず、海洋科学や建築の予備知識がない人でも分かりやすい内容に仕上がっています。