本物の自信は揺らがない

ほんの少し前まで、焦り、落ち込み、苛々と突っかかっていたのが嘘みたいだ。

今なら自信とは何かと問われたら、自分の至らぬ所も弱い所も受け入れられる余裕だと答える。

「何かが出来る」

「何かを知っている」

それらは一つの優越感に過ぎず、自分よりもっと優れたものに出会えば、あっけなく崩れ去る。

だが、本物の自信は揺らがない。

リングが否決されようと、無知や無力を侮蔑されようと、ここまで積み上げた自分自身を信じられるから、大地に根が生えたような強い気持ちにもなる。

第六章 断崖の下書き

本当の心の強さとは ~無理に鋼になろうとするなでも書いているように、ヴァルターは「気の強さ」と「心の強さ」を勘違いしており、辛いことも悲しいこともがんがん蹴散らかして、意思を貫くのが強い生き方だと思い込んでいます。

でも、それは大きな誤りで、勢いだけで人生の困難は突破できません。

TVゲームなら、強くなる為に、いろんな武器を揃えたり、ポイントを増やしたり、「相手より強大なこと」が勝利に不可欠ですが、人生は必ずしもアイテムを揃えれば優位に立つというものでもない。確かに、資格や実績、人脈など、実社会を有利に生き抜くために必要なアイテムは多々ありますが、それを目の前に揃えれば誰もがゲームに勝てるというわけではなく、根本的に自分に自信がなければ、あるいは気魄で負ければ、宝の持ち腐れで終わることも十分に有り得ます。最強と思っていたアイテムを失って、たちまち生きる気力をなくす人もあるでしょう。

逆に、自分という人間に対する揺るぎない信頼があれば、アイテムを無くそうと、相手より数が少なかろうと、堂々と土俵に立つことができます。

そこで勝とうと、負けようと、自分がこれまで積み重ねてきたものに対して、価値があると信じられるからです。

アイテム頼りの勝負は、アイテムがパワーを無くせば、それで終わり。

でも、自分を信頼できる限り、また次の手を考え出すことができますね。

自信は、相手より強いから、相手より優れるから、湯水のように湧いてくるのではありません。

物事が上手くいかない時も、相手に負けた時も、どれだけ自分という人間を信頼して、これからも続けていけるかです。

そういう心境になれば、勝ち負けは一つの結果に過ぎず、自分はプロセスを生きているのだという実感が湧きます。

そして、それこそが、自分の人生を愛することの意味なのです。

Photo:453169によるPixabayからの画像

この記事を書いた人

石田 朋子

文芸愛好家&サブカルチャーファン。主に70年代~90年代の作品に思い入れがあります。好きな言葉は寺山修司の「詩を作るより、田を作れ」。昨今の生産重視の風潮にささやかに反抗しながら、古典文学や芸術の魅力を紹介。科学は生物学と地学のファンです。

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