深海 生物

人間の存在理由と深海の生き物 意味や役割があるから愛されるわけじゃない

自分探しと深海の生物

私が『海』について書き始めた動機の一つは、この詩です。

存在理由と深海の生き物

書いたのは2000年初めですが、1990年代、バブル経済がはじけて氷河期に突入し、にわかに『癒やし系』や『自分探し』がブームになったことへの反発です。
「何ものかでありたい」という気持ちも分かるけど、それが全てでもなかろうし、意味だの、生き甲斐だの言い出せば、この世の大半の生物は存在する価値も無いでしょう。
それに対する答えは、私の中ではずっと変わっていません。

【リファレンス】 八代海の謎の海丘群とプチスポット

謎の海丘群はこちらの論文を参考にしています。なんとなく面白そうだったので。

八代海南部の海底で発見された海丘群の潜水調査報告

2004年の9月から11月にかけ,八代海南部海域において第十管区海上保安本部所属の測量船「いそしお」によるマルチビーム測深機(SeaBat8101)を用いた沿岸測量が行われた.その結果,水俣市から西南西約10km,水深約30mの海域に直径約50m,比高約5mの海丘からなる海丘群が発見された。
伊藤弘志:海洋研究室 
和志武尚弥,那須義訓:第十管区海上保安本部

海底地形図

海洋調査 データ 八代海 海丘群
八代海 謎の海丘群
海上保安庁海洋情報部海洋調査課

この海丘群は、第十管区海上保安本部所属の測量船「いそしお」による海底地形調査により、熊本県水俣市から西南西約10キロメートルの海域において発見されました。周辺は水深約30メートルの平坦な海底で、直径約50メートル、比高約5メートルのほぼ円形の海丘約80個が密集して存在しています。それぞれの海丘は、形や大きさがほぼ等しく、北西-南東方向に並ぶように配列しています。このように平坦な海底面に突如として存在している海丘群は、他の海域ではみられない非常に珍しい地形です。そこで、この海丘の実態を把握するため、鹿児島海上保安部所属の巡視船「さつま」(船長:日高睦男、総トン数:1200トン)と同船所属の潜水班による潜水調査を行いました。

「おにぎり」か「アポロチョコレート」みたいでカワイイ(*^^*)
八代海の海底にこんなユニークな地形があるって、御存知でした?

海洋調査 データ 八代海 海丘群

プチスポット火山の話題も面白かったです。

プチスポット火山とは (日本火山の会)

発見された場所は、北緯37度:東経150度周辺です。 ここは、およそ1億3500万年前の太古に中央海嶺で形成された、古くて冷たい太平洋プレートがしんしんと日本海溝へ沈み込みつつある場所です(図3)。 そのような場所で若い火山活動(5~103万年前)が確認されたということだけでも驚きです。
このような場所は、現在活動的な地殻変動(火山や断層な ど)は無いと思われていたので、今までほとんどの人が注目していませんでした。このような場所は、ただ深海泥がしんしんと降り積もり、リュウグウノツカイ や巨大イカといった深海生物が泳いでいだけだろう、と思われていましたから。

プチスポット火山

しんかい潜航で判明した深海底ストロンボリ式噴火とプチスポット火山の成因の解明

これらの火山は、これまで地球上でほとんど知られていなかった新しい成因の火山活動として認識されつつあり、現在も活動中の(可能性が高い)単成火山群である(Hirano et al., 2001; 2004; submitted; Yamamoto et al., 2003)。本海域は、白亜紀の古く冷たい海洋プレートが日本海溝や千島海溝へ沈み込みつつある「静」的な場所とされ、中央海嶺やリフトゾーン、沈み込み帯や造山帯、ホットスポットや洪水玄武岩といった地球科学分野の「動」的な場所に比べてあまり注目されてこなかった。しかし、この火山群の発見により、北西太平洋下の地質、テクトニクス、マントル構造が多方面の分野から注目されはじめている。

本研究の火山はプレート内火山でありながら、ホットスポットやマントル上昇流に代表される火山を否定し、浅部の枯渇マントルの微小部分溶融を述べている。つまり、マグマは枯渇マントルに相当するアセノスフェアの微小部分溶融の結果形成された可能性が高く、プレートの破壊に沿ったマグマの上昇が示唆される。火山の起因となったリソスフェアの破壊過程や、マグマの起源であるアセノスフェアのマントル論などが、新たな地球科学の展開として大いに期待される。

北西太平洋の新種火山「プチスポット」の総合調査:メルト生成場とマグマ噴出場の分布解明(リンク切れ)

北西太平洋の海底で発見された火山活動「プチスポット」は、既存の火山活動場、中央海嶺、島弧火山、ホ
ットスポットとは異なる様相を示している。その成因解明にむけて、地球物理学、岩石学、地球化学、数値モデ
リングなど様々な手法を用いた総合的な観測・観察・研究が進行している。

画像データ改ざんに関しては、こちらの資料が参考になると思います。
改ざん検知システムの開発

こちらは深海へのあくなき探究心を描いたドキュメンタリー。初めてマリアナ海溝の最深部に到達したトリエステ号、近代的な有人潜水艇、最新の深海調査の模様など、トータルで紹介します。

Ocean Network Canadaの海洋調査の模様
ROV Oceanic Explorer is recovered after connection multiple instruments to the S Node

Jackson, Meghan, and Xi observe a dive while collecting log data

もはや定番。深海の謎の生物、ベストテン!

以下のパートは海洋小説『曙光』の抜粋です。詳しくは作品概要、もしくはタイトル一覧をご参照下さい。

【あらすじ】 

大勢がオンラインで見守る中、潜水艇プロテウスの中から深海調査の実況が始まる。
通信と進行でサポートするのはゾーイだ。
子供たちから様々な質問を受けながら、実況は順調に進む。

【小説の抜粋】 人間の存在理由と深海の生き物

レゾン・デートル:名もない生き物にも生命がある

※ 上述の続き

「ここからは操縦が必要だから、カメラの目を通してマウンドの様子を観察しよう。堆積物の色や形状に注意しながら、ゆっくり斜面の周りを一回りする。プロテウスのように、船自体の重さで沈む潜水艇は、一度、錘を切り離して上昇を始めたら、再び潜航はできない。このマウンドも上方まで行ってみたいが、今、頂上まで行ってしまうと、二度と海底に戻れなくなるから、周囲の状況を考えて、慎重に航路を選ばないといけないんだ」

「なんだ、プロペラで浮いたり沈んだりするんじゃなかったの?」

「プロペラはあくまで左右の進路を調整するだけ、原子力潜水艦みたいに浮いたり潜ったりする馬力はないんだよ」

「案外、不便なのね」

「だから、海の探査はなかなか進まないんだ」

「それで、皆、海ではなく、月の向こう側に行ってしまったのね」

「魚の尾びれより鳥の翼の方が軽快に飛んでゆく所以だよ。なんにせよ、人間が生まれ育った世界を飛び出して、まったく別の世界に適応するのは大変なことだ。人間に限らず、鳥でも、魚でも、それぞれの身体に適した世界があって、その中で生きるよう遺伝子にプログラムされている。どんな生命もその星の土や水から作られていて、それらも含めて一つの大きな自然のシステムを成しているからだ。たとえば、大昔は鉱物資源の生成に微生物が関与しているなど考えもしなかっただろう。だが、今では、鉄や銅やマンガンなどの鉱床に微生物の生命活動が大きな影響を与えていることが解ってる。微生物が生きるために酸素や硫黄を消化する過程で、金属成分がいろんな形に変化し、やがては鉱床と呼ばれるほど濃縮されたものになるんだ。どれ一つ欠けても自然のシステムは成り立たない。名もないナノスケールの微生物にも役割があるんだよ

「『レゾンデートル』ってやつ?」

「人間の世界でいえばそうだけど、そもそも存在に理由などないと俺は思ってる。だって、そうだろう? 魚に『存在理由(レゾンデートル)』なんて言葉が通じる? 理由など無くとも、ちゃんと生きてるじゃないか。すべての命は、ただ存在するだけで価値が有る。『生きる』ために、生きるんだ」

「意味がよく解らないわ」

「それはね、深海の生き物を間近で見れば解る。どうして、こんな所に? というような所に、健気に生きている。何を食べているのか、どうやって繁殖するのか、まったく見当もつかないが、彼らには彼らの世界があり、生き方がある。未だ人間の目に触れず、名前もない生物もごまんといる。もし、彼らが『僕たちは何の為に生きているのだろう』と自らの存在を疑いだしたら、生きていかれないだろう。意味なんて、なくてもいい。『生きる』ために生きる、それが全てだ」

「そんなこと言われても、私には解らない。世の中には、自分が存在すること自体、苦痛な人もいるわ。『生きる』ために生きるなんて、上等な生き方は私にできない」

「上等、下等の問題じゃない。自然でいいんだよ。現に君はここでオンライン講義のアシスタントを務め、おかげでたくさんの子供や学生が実況を見ることができる。今日という日に、君はこの場に居なければならなかった、それが『存在』というものだよ」

「私にも役割はある、というわけね。でも、それは外部に認識されて初めて、役割としての意味を持つのではないの?」

「他の誰かが認めなくても、自分で役割を見つけることはできるよ。それに役割があっても、なくても、生きていることに変わりないじゃないか」

「そうかもしれない。でも、人って、何かしら意味や役割を認めてもらえないと、辛くなったり、虚しくなったりするんじゃない?」

「意味があるから、役割があるから、愛されるわけじゃない。出目金は、出目金というだけで、十分に愛される存在じゃないか」

「でも、世の中の大半は、そんな風に考えられないものよ。出自や、器量や、成績や、周りと見比べては自信をなくし、自己嫌悪に陥ってしまう。愛なんて、それこそ遠い海の果て――泳いでも、泳いでも、見つからないような気がする」

「それは君が愛ってものを、えらく特別に考えているからだよ。周りをよくよく見渡せば、野の花みたいに、あちこちに咲いている」

「そうかしら」

「いつか君にも分かるよ。生きていれば、きっと」

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火山島ウェストフィリア近海の海底鉱物資源の探査に乗り出したファルコン・マイニング社はヴァルターに深海調査をオファーする。潜水艇パイロットの矜持から引き受けるが、ファーラー社長の介入で現場の士気はガタガタ。しかし海洋学者やオペレーターらの真摯な探究心により、次第にチームは一丸となる。そして未知の海底で目にしたものは……。
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宇宙文明の根幹を成す稀少金属《ニムロディウム》をめぐる企業の攻防と社会の展望を描いた本格的な海洋ロマン。
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